タガタメ。

しばらく見ないうちに欧州株がひどいことになっていた。ドイツなんてここ1ヶ月と少しで3割くらい下がっている。つられて日本も2割くらい下がっているのだが、相対的には踏みとどまっているように見える。欧州の債務問題をドイツが一手に被って潰れそうになっている姿がイメージされる。財政状況がかくもバラバラなEU各国が一枚岩でユーロを共通通貨として用い続けることに限界がきている。

日本については復興需要は依然として旺盛であるし、フル生産しても受注に応えきれない、等々けっこう景気のいい話もちらほら聞こえてきていることだけを見れば、これだけ株式が売り込まれている状況には違和感がある。欧州の問題にいったんの目処が付けば、日本株の今回の下げは早期に埋めてくるのではないかと考えている。楽観ムードでクリスマスを迎えられるのではないかと思っている。

★★★

そんな日本経済を霞ヶ関から司る経済産業省の大臣が失言問題により辞任した、というニュースが週末に流れた。失言自体はもちろん看過できない問題だとは思う(ただしこれで彼を人柱として日本国民の放射能に対するモラルが若干良くなったとも言えるのだが)が、興味深いことに、マスコミの言葉狩りが行き過ぎているのではないか、という意見がネットでもよくみられた。

言葉狩りのみならず、大臣辞任会見でもたいそう記者からひどい言葉が飛び交ったそうだ。記者としても言葉をぶつけることで少しでも真相を引き出したいという気持ちがあるのだろうが、あまりにもお行儀が悪いように思う。

うちの会社にもしばしば新聞記者から取材の電話がかかってきたり、取引の相手方としてたまに新聞局の本部の方とやりとりをすることがある。僕自身は新聞社の人とこれまで数回しかやりとりをしたことはないのだが、それでも、態度が横柄だったり、自分が最初に決め付けたシナリオ通りにものごとを進めるような(時には事実をねじまげているのかもしれない)仕事をしているように感じた。みながみなそういう人でもないのだろうが、新聞社という空間に流れる空気が伝わってきた。

ここ数年でマスコミはその絶対的な権力が徐々に減じてきているように見える。銀行時代に顧客に「マスコミに言いつけますよ!」みたいなことを言われたこともあるが、今同じようなことを言う人は少なくなっているのではないか、小さなほころびが積み重なって、マスコミの信頼性が揺らいできている。おそらくこれからもマスコミの立ち位置は変わり続けるのだろう。全国紙よりも、地方紙の方が未来のマスコミのある姿に近いようにも思う。今回の一件は、政治問題と言うよりも、マスコミ自身がそのあり方を試されるきっかけになったように思う。