金曜日のライオン。

昭和的なるものの象徴的なものとして、昨日の高校野球の話に続き、きょうはTM NETWORKの話をしてみたい。

中学生の頃TKサウンド(笑)にまんまと魅せられた僕は、高校生くらいになってそのルーツとも言うべきTMNを聞きはじめた。あの頃は8センチシングルが中古CDショップでどんどん売れ始めていて、ほとんどのシングルを買い集めて聞いた(中古と言えどもアルバムを買うお金はなかった)。その後前期TMNの最終作品である「EXPO」を買い、大学生の頃は車のなかですり切れるほど聞いた。そして最近ふととあるブログでTMNのことが書かれていたことをきっかけにYoutubeで再度聴くようになった。

ということで、TMNライフを満喫しているのだが、改めて映像で見るとバブルというかなんというか、今の世界が失ってしまった煌きがモニターからほとばしってくるのだ。衣装はびっくりするほどダサいのだが、宇都宮さんも小室さんも尋常ならざる色気というか妖気を放っている。なんというか目ヂカラにやられる。今の音楽シーン(といっても全然みていないけど)でこんなにオーラのあるアーティストがいるだろうか??映像付で見ていると、単なる歌ではなくて、さながらミュージカルのように感じられる。

さらに感じたのが、小室さんが非常に楽しそうにシンセを叩いているということ。あぁこの人は根っからエンターテイメントが好きなんだな、と思わさせられる。ライトを浴びて、ステージで跳ね回っている姿が似合う。着ているものは現代のセンスから見ればヴィヴィッドすぎてダサいのだけど、そんなわかりやすいド派手さにある種の憧れを感じてしまう。そして、今の世の中には派手なものがなにひとつ存在していないのだ、と思ってしまう。やたら背伸びをしたりカッコつけた歌詞(Crazy for youの語りはその最たるもの)にしても、滑稽にすら聞こえてしまうけど、どこかでうらやましいと思ってしまう。

小室さんはそれからTMNの活動を休止し、一大ブームを作り出したと思えば華々しく散ってしまった。逮捕される前の数年間の音楽製作は僕から見ても迷走していたように感じた。TMNというカタチでなくとも、昔の小室さんらしい音楽をもう一度聴きたいと思う。世間の求めるものよりも、小室哲哉が大切にしてきた自分の音楽を聴いてみたい。そしてもし可能ならばもう一度そんな音楽が街中を流れたバブルの空気に浸ってみたいとも思うのである。