復活のマウンドへ。

新垣渚というプロ野球選手を覚えているだろうか。


今年31歳。松坂世代の一人、というか高校時代は松坂大輔以上の評価をされていた投手である。高校野球全国大会史上初の151k/hのボールを投げたのが彼だ。その後高校卒業後にオリックスブルーウェーブにドラフト1位指名されるもこれを拒否し(当時の担当スカウトが自殺してしまい騒動となった)、九州共立大学に進学、卒業後逆指名でソフトバンクホークスに入団した。

入団後いきなりの活躍、タイガースとの日本シリーズにも登板。2年目からは3年連続して2ケタ勝利をマークした。特にスライダーのキレが凄く、斉藤和巳和田毅杉内俊哉とともにホークス投手の四本柱と呼ばれていた。これから十数年にわたって球界を代表する投手であり続ける、と僕は思っていた。

しかし2007年から彼の投球に狂いが生じ始める。投げられたボールがことごとくホームベースのはるか手前でワンバウンドして、捕手が捕れずにボールが後ろに逸れていく。2007年の1シーズンでプロ野球史上最多の25の「暴投」を記録、翌2008年には1試合5暴投、1イニング3暴投のこれまた新記録を樹立した。これと並行して彼の成績は下がっていき、やがて肩を壊した2009年以降は1軍のマウンドに立っていない。

★★★

同じく、マリーンズにもその素質を大きく期待されながら伸び悩んでいる投手がいる。大嶺祐太である。彼もまた高校時代の評価は同学年の田中将大楽天)を上回るものだった。マリーンズに入団してから5年目となり、高卒の選手としてはまずまずの成績を残しているとは思うのだが、まーくんとは大きく差を開けられてしまった感がある。

2人に共通しているのは、すごいボールを投げるのだが、打たれだすと止まらず一気に崩れるところだ。少しでも攻撃陣から揺さぶりを受けると、ものの見事にその罠にはまってしまうことが多い。もちろん力でねじ伏せる投球を見せることもあるのだが、総じて安定感がなく、常に崩れてしまいそうな雰囲気をまとっている。マウンドで不安そうな顔をしていることも多い。

2人は共に沖縄出身であり、優しそうな表情をしている。沖縄出身だからプレッシャーに弱く、闘争心にかけているというのは言い過ぎかもしれないが、自分自身の壁をなかなか打ち破れないでいるのは事実である。それでいて、2人ともなかなかマイペースなのだ。もっとも人間的にみればそれは長所なのかもしれないが。。


沖縄といえば、5月からマリーンズの2番打者に定着したルーキーの伊志嶺翔大は、着実に成績を残し、今年の新人王も狙える位置にいる。彼は大学から関東に出てきて、学生日本代表のキャプテンという重責も担った。沖縄出身の選手はなかなか大成できないというジンクスを彼なら破ってくれるだろうか。いや、破ってほしいものだと思う。


今年の夏から秋は震災の影響で各チームとも過密日程が続く。新垣渚大嶺祐太が大観衆のスタジアムの前に戻ってくることを、心待ちにしている。