大阪駅11番ホーム。

毎年三月になると、JRは大がかりなダイヤ改正が行われる。今年は九州新幹線全通という大きな目玉と、新青森まで延伸した東北新幹線に新車両「はやぶさ」が投入されるため、大きな話題を読んでいる。

その一方で、僕はひとつの特急の廃止に心を動かされずにはいられない。特急「雷鳥」の廃止である。

雷鳥」は、大阪から京都を経由して、福井ー金沢ー富山と走る、関西と北陸を結ぶ特急である。いわゆる国鉄色と呼ばれる、クリームをベースとして赤のラインがはいった車体をしている。

雷鳥」は長らく北陸本線の花形特急であったが、約15年前から新型車両を使用した「サンダーバード」という特急が北陸本線には投入された。「サンダーバード」は速度性能も高く、北陸本線の特急は、福井、金沢、富山といった県庁所在地レベルの主要駅にのみ停車する速達タイプの「サンダーバード」と、その他の小さな駅にもこまめに停車するタイプの「雷鳥」とが、30分おきに走るダイヤとなった。

僕の田舎は福井県敦賀というところにある。福井県第二の都市であるが、人口が十万人に満たない小さな町である。「サンダーバード」はほとんどが停車しない。中学生の頃までは毎年お盆の時期になると帰省していたが、いつも「雷鳥」に乗っていた記憶がある。

そんなわけで、鉄道少年だった僕にとって、特急「雷鳥」というのは特別な存在なのである。

雷鳥」をはじめとした北陸方面への特急は、大阪駅の一番北側の端にある11番ホームから発車する。僕は今でも大阪駅に降り立つとき、11番ホームの近くに来るとそわそわする。次から次へとホームに滑り込んできては乗客やお弁当を乗せ、発車していく特急を飽きることもなく眺めた記憶を思い出すのだ。ついでに、いとこのお兄ちゃんお姉ちゃんに人見知りをしながら過ごした田舎の大きな家の大広間と、その場にいた都会っ子でもやしっ子の少年(僕のことだよ)ことも思い出すのだ。

今週末、来週末と出張等々で大阪に帰ることになっている。11番ホームで挨拶する言葉を考えておかなあかんな。

さようなら、雷鳥。ありがとう、雷鳥