ほんとうの投資とは。

最近、独立系投信に興味がある。直接のきっかけは「ひふみ投信」を運用している運用会社が為末大をゲストスピーカーに呼ぶ、というのでその会社のセミナーに行ってみたことだが、それ以来独立系投信に対する興味がどんどん湧いてきた。

1998年に銀行窓口での販売が解禁されてから、投資信託はバブル期以来2度目のブームを迎え、2007年にはバブル期のピークから1.7倍となる残高百兆円に達した。しかしその後の株式市場低迷と円高進行によって、投資信託の伸びは止まっている。銀行窓販解禁は確かに運用商品をより多くの人に届ける門戸を広げたけれど、なかなか定着していないのが現実ではないかと思う。リーマンショックにより株式系の投資信託で痛手を受けた資産家が、昨年あたりから新興国の外貨建ての高金利債券を対象とした投資信託をよく購入しているらしいが、これも投機としか思えない。買って(買わされて?)いる人たちは商品の仕組みを理解しているのだろうか。証券会社や銀行や生保で売られている運用商品は、それぞれの営業職員の勧めにより買わされるものであり、まだまだ販売会社の手数料稼ぎのツールとしか扱われていないのが悲しいかな現状だと思う。営業職員の勧めにより短いサイクルで商品の乗換えをされることも少なくない。

一方で、独立系運用会社が直接販売する投資信託は主に20代〜40代の給与所得者に長期間にわたって積み立て投資をしてもらうことを主眼に置いた商品となっている。大半の商品は日本国内の株式で運用する商品である。国内に両手で数えられるくらいの独立系運用会社があり、それぞれの運用哲学はさまざまであるが、どの会社も投資が本来持つべき力である「自分自身のお金を社会のなかで働かせて、経済を発展させて、その見返りとしてリターンを得るもの」という考えを持っており、顧客に対しても、その考えを意識してもらうように努めているように僕からは見える。今まで日本でこのような視点からお金の働かせ方を意識付けた会社はあまりなかったのではないかと思う。もちろんマイクロファイナンスやソーシャルファイナンスもかなり日本でもメジャーになってきているとは思うけれども、より多くの僕らの同世代が、自分のお金のよりよい働かせ方に気づく身近なきっかけとして、このような考えをもって運用されている商品の存在価値はけして少なくないと思う。マスメディアからソーシャルメディアへの緩やかなシフトが起こっているように、お金の働かせ方もまた、従来の金融機関からこういった小規模な運用会社へと主役が交代していくのではないかと僕は感じている。かなりワクワクしている。なにせ、投信業界のマーケットは数十兆円(個人金融資産全体をマーケットとすると千四百兆円!)に達するにもかかわらず、その顧客の大半は既存の金融機関のサービスに必ずしも満足しているとは言えないのだから。