人はそのときどきでいろんな人に影響を受けて育つものだと思う。最初は親だったり先生だったり、それが憧れの先輩になったりアーティストになったりするものだと思う。
ここ二年くらいでおそらく最も僕が影響を受けたであろう人は、ちきりんさんで間違いない。最初に彼女のブログ(http://d.hatena.ne.jp/Chikirin/)を見つけたときは、就業時間中だったにもかかわらず仕事をほっぽり出して、二時間くらいぶっ通しで過去のエントリを遡ってしまった。確か三日くらいで五年近くの全エントリを読み切ったはず。そのくらい、彼女の文章は小気味よいと思う。知らず知らずのうちに、彼女の文体と僕が日々書いてきた文体が似通ってきていることも否めない。
僕はちきりんさんと考え方がかなりの部分で似ている、というのが、ここまでファンになってしまった最大の原因である。ものごとはなんでも経済合理性で考えるし、ぐーたらだし(ちきりんさんすみません笑)、普通の人以上に自由であることを渇望するし、人生なんてなんとかなると思い込んでいるし、これだけウマが合いそうな人はいない。関西出身の香りをほのかに残しているノリの文体も。それでいて、視野は僕と比べて彼女のほうがはるかに広い。そうなるとどういうことが起こるかというと、僕が無意識的に考えていたことや、考えもつかなかったことを、彼女があたかも思考の先回りのように提示してくれるのだ。ややもすれば思考停止につながりかねない危険な癖ではあるが、人間に与えられた時間は一日24時間しかないし、当然たっぷり寝たいし、ぼーっとする時間もほしい。僕の頭のなかで考えられることなんてたかがしれている。そんなときに、思考回路や価値観が似通った人が市井のトピックについて考えたことの記録を読むのは、まるで思考の新幹線に乗っているような感覚になる。
で、そんなちきりんさんがこの度以下の本を出版した。
- 作者: ちきりん
- 出版社/メーカー: イースト・プレス
- 発売日: 2011/01/20
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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よく、自己実現しなきゃなんて言うけど、何者かになること=自己実現ではないと思う。自分の心がどういう時に喜ぶか、気持ちよく思うかを知ることが第一であって、その先に、何者になるのか、という付随的な問いがあるのだと思う。なりたいものになれた、やりたいことができること=幸せとは限らない。そんなシンプルなことを、彼女は気付かせてくれた。
じゃあ、最後は彼女に敬意を表して、この言葉で締めます。
そんじゃーね!!